95/12/16
知人の藤田一美から、旦那(藤田雅矢)のファンタジイ大賞受賞作『糞袋』(新潮社)をもらう。別の短編がJOMO主催の童話賞でも入選したとかで立派なことだ。まあしかし、ファンタジイ大賞の場合、薦者がクソミソにけなすところが可哀想。必ずしも望まれての受賞とはいえないようである。
『仮想年代記』(アスペクト)
大原、梶尾、かんべ、掘、山田のアンソロジイ。時間を扱いながら、まったく観念に流れないところが日本的でもある。確かに、時間には観念(いわゆる、タイム・パラドクス)と情念(いわゆる、失われし青春の日々よ、いま一度)の両方の要素があってSFでは、前者に流れがちであった。そのために『リプレイ』のような非プロパーのファンタジイが受けたりする(それが悪いといっているわけではありません)。しかし一番異彩を放つのが、SF正統派の堀さんという偏りようはちょっと困るのでは。
ヴィンジ『遠き神々の炎』(東京創元社)
壮大な宇宙SFでありながら、結局何だったのかが分からない混乱が残る。上下巻を費やすだけの筆力に不足があったか。どちらかというと、馬鹿SFを目指す人にはいいかも(アイデアはよい)。
『無限アセンブラ』(早川書房)
途中まではナノテクSF傑作と思いきや、なんてことはない疫病パニック小説風となる。アンダースン&ビースンという作家の意図は、どちらかというとSFよりパニック小説にあるようである。SF読みからすると、相当見掛け倒しの傾向がある。
95/12/23
さて、前回PC環境を一新した話を書いたが、いまだに98、W31で書いている。まーなんというか、買ったばかりの28.8kモデムはダイヤルもできずに返品、注文から納品まで1ヶ月以上かかったノートPCは、パワーオン・スリープ(寝たまま)の困り者で修理返品と、いやーまいったもんだ。PC業界一般の傾向として、商品の信頼性低下が指摘されているが、これは世界的水準にようやく日本が追い付いた証拠でもある(商品の最終動作チェックは、メーカではなく消費者が行うというのが世界的常識)。
とゆーことで、W95+Plus!やらOffice95やら、NortonUtilities95やらもスリープしている。時代はまだ、我にあらず。
近所のケーブルテレビがインターネット接続サービスを始めるようだ。ケーブルの場合は、10〜30Mbpsと速度は桁違い。ではあるが、このスピードをサポートできるのはLAN(100BASE)か次世代のパラレル・シリアルバスのみで、現行のRS232C/422ではとうてい無理。SCSI2でも無理である。PCI直結の専用カードが必要。
ジェフ・ヌーン『ヴァート』(早川書房)
『サイベリア』(同題のノン・フィクション。アスキー刊)のもう一つの顔、ドラッグ文化を語っている。特にスマート・ドラッグなどの合法(?)ドラッグは今後蔓延する可能性が高い。まーしかし、本書に出てくるナノテクだとかロボットとかは、もはや従来SFの同音語とは異なるものであって、同じ次元で語る意味がない。