●海外作品
1.ハイペリオン ダン・シモンズ(早川書房)
2.ドゥームデイ・ブック コニー・ウィリス(早川書房)
3.ドラキュラ紀元 キム・ニューマン(東京創元社)
4.黎明の王 白昼の女王 イアン・マクドナルド(早川書房)
5.ワーシング年代記1、2 オースン・スコット・カード(早川書房)
[コメント]
『ハイペリオン』か『没落』かというと、やはり正編を採りたい。SF度≠フ多さを重視した。コニー・ウィリスは、作家的なパワーにあふれているものの、SFとしての部分の出来にはあまり感心できなくて第2位。一方、事実上SFであるキム・ニューマンとイアン・マクドナルドは、組み立ての新鮮さを買う。カードは、本来の実力発揮とはいえず、舞台裏をのぞくような作品で、正続二冊を第5位としてみた。
●国内作品
1.魂の駆動体 神林長平(波書房)
2.「科學小説」神髄 野田昌宏(東京創元社)
3.スカーレット・スター耀奈 梶尾真治(アスペクト)
4.くるぐる使い 大槻ケンジ(早川書房)
5.水夢 川又千秋(アスペクト)
[コメント]
例によって、ヤングアダルト系はフォローできていない。神林長平の『言壷』はSF大賞を取ったが、そういう意味では今年の『魂−』の方がテーマとして分かりやすい。野田昌宏についてはあえてコメントは不要だろう。梶尾真治は何作か出た作品の中で、本書にもっともピュアな味わいがある。大槻ケンジは著者のSF感性を充実させた好編。川又千秋は郷愁のSF短編が横溢。なお『引き潮のとき』はぎりぎり選考範囲から外れてしまうが、本年の最重要作であることは間違いない。