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アマチュア・フィルム・コンテスト(中ホール 8月23日11:25開始)
 出演者:尾形太己(司会)、森正樹、中本ヨシヒロ

  開演前から立ち見が出るほどの盛況のなか、尾形太己氏(「ファイブG」)が司会、森正樹、中本ヨシヒロ両氏がプレゼンターとしてアマチュア・フィルム・コンテストは開始した。
 最初に招待作品として、中本ヨシヒロ、水谷しゅん製作の「屍の街・予告編」「ヒナラギ伝説・予告編」を上映。その後・応募作品17本の中から選ばれた優秀作6本の上映と表彰がおこなわれた。入賞した各作品には実行委員会から賞状が、また伊丹グリーン劇場特撮ファンクラブ「ファイブG」より賞状と盾が贈られた。また最優秀作品「怪獣現わる」にはトロフィーが贈られた。

入賞作品は以下のとおり。

[最優秀作品]

 「怪獣現わる」 岸田晃宣監督作品、24コマ2トラックモノラル

[優秀作品]
 「どきどきウォーキング」北山真一監督作品、24コマ2トラックモノラル
 「タイちゃんの朝」米田靖司監督作品、24コマステレオ(アニメーション)
 「NEWちくま仮面」伊藤敏夫監督作品、18コマモノラル
 「バービーはキャッツ・アイ」岡村博文監督作品、24コマステレオ(人形アニメーション)
 「影の重なる時」原作・小松左京、関西大学SF研究会作品、築山浩人監督、18コマモノラル

 この企画は、兵庫県伊丹市のグリーン劇場が主催していた、グリーンリボン賞に触発されたもの。同賞は、93年まで続けられた。

bullet グリーンリボン賞のリスト

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ファンジン大賞選考会/授賞式(練習室 8月23日12:10/小ホール 24日12:50開始)
 出演者:喜多哲士/小浜徹也(進行)、新戸雅章、牧眞司、英保未来(選考会)、斉藤芳子(授賞式)

 毎年恒例のSFファンジン大賞、今回は選考委員に柴野拓美、石川英輔、川又千秋、新戸雅章の各氏を迎え、数多くのファンジンが参加した。
 当日、紫野、石川、川又各氏欠席、というアクシデントがあり、新戸さんだけで行わなくてはならないのではと心配されたが牧眞司、新潮社の英保未来各氏を会場に迎えてなんとか始められた。
 今回の目玉は、なんと言っても部門新設である。前回まではレイアウト部門と呼ばれていたものが発展的解消をし、エディトリアル・ワーク部門としてレイアウトを含めた総合的な編集センスを問うものとなった。また、特別賞として情報・コラム部門が設けられたが、翌年以降には定着しなかった。

[ファンジン大賞]
 名古屋大学SF研究会 『PERCEPTRON』5号/6号

[創作部門]
 山本弘「シュレディンガーのチョコパフェ」(星群の会『エデンの産声』所収)
[翻訳部門]
 G.E.O.『THATTA文庫』
[研究部門]
 SF資料研究会『奇想天外(旧・新・別冊)/SF宝石インデックス・フィクション篇』
[評論部門]
 該当作なし
[エディトリアル・ワーク部門]
 中部学生SF交流会『SFFILE 1985』
[アート部門]
 該当者なし
[特別賞(情報・コラム誌)]
 名古屋大学SF研究会『MILKSOFT』
[柴野拓美賞]
 梶屋真治、白柳孝

 なお、24日に小ホールにて、受賞式が行われた。

bullet ファンジン大賞及び星雲賞の詳細についてはこちらを参照ファンジン大賞リスト
 

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MEDIC メカデザイン・コンテスト(小ホール 8月24日11:40開始)
 出演者:佐藤元、谷口守泰、吉田徹、高橋良輔、永野護

 メカデザイン・コンテスト(愛称MEDIC)は、DAICON5実行委員会が企画し、日本サンライズの協賛によって開催された。
 企画コンセプトとしては、最近アマチュアの間で流行している既存アニメーション作品の模倣ではなく、今までにない独創的なデザインを募集。審査方針も、応募作の作画技術を競うものではなく、そのデザインセンスに着目して次世代のメカデザインを求める事となり、「あなたも、オリジナリティという言葉を考えなおしてみませんか」をキャッチフレーズに募集を開始した。
 同時にゲストの人選も進められ、メカデザイナーよりも現場でアニメを制作されている方の意見のほうが面白いのではないか、ということになり、大阪アニメアールの谷口守泰、吉田徹、および漫画家の佐藤元の各氏にお願いした。
 結局、締め切りには応募総数200以上の作品が集まり、その中から第1次選考30作、第2次選考で、15作が選出された。
 大会当日、2次選考を通過した作品はそれぞれスライドプロジェクターで映し出され、当日飛び入りで審査員になって頂いた永野護、高橋良輔監督を含めた5人の審査員から寸評や御意見を頂き、1人持ち点10点で得点を付けるという方法を用いた。
 作品については、最優秀作品『愛牙』と、優秀作『メキシコくん』が会場を圧倒した。

 『愛牙』は、一見巨大な植物に見えるが、実は植物にメカを埋めこんだという設定。
 『メキシコくん』は、メキシカン・ハットをモチーフにした歩兵用対空ビーム砲のデザインであった。

 最後に谷口氏に「今回のようなオリジナルデザインも重要だが既存のデザインを自分のセンスで描くのも大切」と締めくくって頂いた。

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星雲賞授賞式(大ホール 8月24日14:50開始)

 第17回星雲賞では、事務作業面において、投票用紙を「料金受取人払い郵便」にした事が、経費削減や参加者の投票のしやすさにつながった。有効投票数565票(「その他」とあるのは10票以下の作品の合計)。棄権票が40%を越える部門や、該当作なしが10%以上を占める部門は、投票者の関心が薄いことを意味している。
 また、副賞は小惑星を斜めの支柱でささえるデザインのトロフィーとなった。

海外長編部門
エルリック・サーガ(マイクル・ムアコック) 68
造物主の掟(J・P・ホーガン) 58
夜明けのロボット(アイザック・アシモフ) 58
ロシュワールド(ロバート・L・フォワード) 53
スタータイド・ライジング(デイヴィッド・ブリン) 39
復讐の序章(ジャック・ヴァンス) 25
該当作なし 25
タイタス・グローン(マーヴィン・ピーク) 24
ダウンビロウ・ステーション(C・J・チェリイ) 23
ヴァレンタイン卿の城(ロバート・シルヴァーバーグ) 20
氷(アンナ・カヴァン) 13
その他 35
棄権 124
海外短編部門
該当作なし 51
ブルー・シャンペン(ジョン・ヴァーリイ) 45
奇跡なす者たち(ジャック・ヴァンス) 36
遺失物見つけます―ウォンの店(ウィリアム・F・ウー) 35
まったくなんでも知っているエイリアン(ジョージ・A・エフィンジャー) 35
王様の家来がみんな寄っても(バリントン・ベイリー) 29
大瀑布(ハリイ・ハリスン) 20
第六感(マイクル・G・コニイ) 16
雲を消した少年(ローレンス・ブロック) 12
ビ―ムにしておくれ、ふるさとへ(ジェームズ・ティプトリー・Jr) 12
その他 41
棄権 233
日本長編部門
ダ―ティぺアの大逆転(高千穂遙) 77
首都消失(小松左京) 68
帝都物語(荒俣宏) 59
該当作なし 55
太陽の汗(神林長平) 35
創星記(川又千秋) 35
妖精作戦シリーズ(笹本祐一) 29
切り裂き街のジャック(菊地秀行) 28
美獣(高千穂遙) 23
世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド(村上春樹) 16
魔境密命隊(山田正紀) 12
その他 58
棄権 70
日本短編部門
レモンパイお屋敷横丁ゼロ番地(野田昌宏) 91
該当作なし 51
ブラック・ウィドウ(神林長平) 43
女性型精神構造保持者(メンタル・フィメ―ル)(大原まり子) 38
昏い横顔の天使―ダーク・エンジェル(火浦功) 35
鯨夢!鯨夢!(GAME! GAME!)(山田正紀) 34
年末ほろ酔い探偵団(夢枕獏) 22
見えない人間(山田正紀) 20
墓から墓へ(神林長平) 20
見張り(ウォッチャー)(草上仁) 13
その他 52
棄権 146
コミック部門
アップルシード(1・2)(士郎正宗) 99
県立地球防衛軍(安永航一郎) 98
2001夜物語(星野之宣 92
炎の転校生(島本和彦) 48
エデン2185(竹宮恵子) 42
該当作なし 28
エレキな春(しりあがり寿) 23
護法童子(花輪和一) 14
その他 81
棄権 40
アート部門
天野喜孝 167
横山 宏 52
佐藤道明 49
いのまたむつみ 43
該当者なし 41
出渕 裕 34
米田仁士 18
末弥 純 12
平野敏弘 11
その他 72
棄権 66
メディア部門  
バック・トゥ・ザ・フューチヤー(ロバート・ゼメキス監督) 82
ターミネーター(ジェームズ・キャメロン監督) 68
銀河鉄道の夜(杉井ギザブロー監督) 62
天子のたまご(押井守監督) 46
うる星やつら(TVシリーズ) 36
砂の惑星(デイヴィッド・リンチ監督) 35
2010年(ピーター・ハイアムズ監督) 29
レディホーク(リチャード・ドナー監督) 21
スケバン刑事(TVシリーズ) 19
ダーティ・ペア(TVシリーズ) 16
八岐之大蛇の逆襲(赤井孝美監督) 15
エレクトリックドリーム(スティーブ・バロン監督) 15
スーパーマリオブラザーズ(ファミコンソフト) 15
戦え!!イクサー1(平野俊弘監督) 12
該当作なし 12
その他 68
棄権 14
ノンフィクション部門
SFヒーロー列伝(池田憲章) 85
ビギナーのためのSF夏期集中講座(ジェームズ怒々山) 46
アシモフ自伝1,2(アイザック・アシモフ) 46
電脳都市(坂村健) 42
ゲーデル・エッシャー・バッハ(ダグラス・ホフスタッター) 32
該当作なし 29
最新版SFガイドマップ 入門・歴史編(D・ウィングローブ編) 20
パラノイア創造史(荒俣宏) 18
夜の言葉(アーシュラ・K・ル・グイン) 17
その他 52
棄権 178

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コスチュームショー(大ホール 8月24日15:50開始)
 出演者:西川公則/井上祐美子(司会進行) 大野安之、道原かつみ、大和眞也(審査員)


 2日間に渡るSF大会のフィナーレを飾るのは、大会恒例となったコスチューム・ショーである。
 今回、審査員になって頂いたのは、大野安之、道原かつみ、大和眞也の御三方。あと鳥図明児さんにお願いしていたが、都合により欠席された。
 大会のフィナーレ企画ということもあって、開演前から参加者の大多数が大ホールにつめかけ、会場は異様な興奮に包まれていた。
 今年、『元気者、集まれ!!』というキャッチフレーズに集まってきたのは総勢16組。
 トップを飾ったのはヒトラーもどき。祖国ドイツが生んだぺリー・ローダン・シリーズをもって、グインサーガとの徹底抗戦を叫びながら、思わずグインを支持してしまう愛敬ある出し物だった。
 また、DAICON3や翌年のTOKON8で好評を博したMFCのサムライ・ファンタジィ『カッティング・モモタロウ』で有名な「挑太郎侍」が復活。往年の名演技を披露した。
 最後の演目となった原田泰一郎率いる『明るい特撮軍団』は、造型・演出ともに、最も手間をかけていた。
 その他、気障に決めてくれたヤン・ウェンリー、放射能で髪が黒くなってしまったストレイカー司令官、原作版のコスチュームで登場したダーテイ・ぺア、グイン・サーガ、セクシーな沙門ちゃんなどなど。
 そして、特筆すべきは大会史上初の海外参加者によるエントリーであろう。
 L.A.Con2のスタッフを含むLADERAツアーから参加の面々は、本場ワールドコン仕込みの演技を披露。特に道化のコスチュームを着たミズ・ロビン・シンドラーのパントマイムは、Pepper Land's Themeにのって流れるように動く。それから、キース・スウェルのズォーダー大帝!メイク・アップの派手さもさることながら、誰彼かまわず高笑いしてみせる乗りのよさは、やっぱり性格なのでしょう。
 ターミネーターのSFXスタッフだったというアー二一・カーファンテスは、一条輝で決めてくれた。ハンサムでマッチョテイストで、おまけに本物のメイク・アップ・アーテイストだっていうのだから、コスチュームの決まりぐあいもわかろうというもの。
 名演技賞ものだったキャプテン・ハーロックを演じたジョン・モリソン氏は、重力サーべルがいかにも手作りという感じで泣かせた。彼は打ち合わせのとき、こちらの「あなたのコスチュームは何か?」という問いに対し、にっこりと微笑みながら『宇宙海賊キャプテン・ハーロック』と日本語で(しかも『うちゅうかいぞく』とルビつきで)書いてくれた。

 ここで、再び大ホールチーフT君のレポートを引用しよう。

 昼過ぎまでのプログラムは順調に進行したが、Tの懸念はやはりコスチュームショウにあった。しかし、Tはコスチュームショウを気にするあまり、それと同様に重要なプログラムである星雲賞受賞式のことを忘れていた。本当は1日めのコスチュームショウリハーサル終了後に、星雲賞のリハーサルを行なう予定が流れ、ろくに準備ができていない。それまで定刻通りに進行していた大ホールのプログラムが、初めて20分程遅れた。実はあの時、緞帳の閉った裏では、受賞式のリハーサルが行われていたのである。

 星雲賞受賞式はあっという間に終わったが、この後の舞台裏は戦争だった。舞台進行をコスチュームショウ担当のT2にバトンタッチし、舞台上手に移ったTはコスチュームショウ出場者の整理にあたることになった。このときスタッフの中で、コスチュームショウの進行を把握していたのは多分TとT2のたった2人だけだった。なかなか準備がはかどらず、あたふたしていたTに、ゲスト審査員のMさんが声をかけてくださった。

「スタッフの皆さん、みんなバタバタしてるけど、こういう時には誰か1人落ちついてどっしり構えて指示を出す人がいるべきでしょうね」

 もちろんMさんは、話している相手がその指示をだすべき大ホールチーフだとは御存知ない。

「じゃあ、私がどっしりしましょうか」

 と言って笑うしかなかったった。コスチュームショウは不手際がありながらもとにかく終わった。終わり頃にはTは怒鳴りすぎて声がおかしくなってしまっていた。

 審査中、舞台上ではアクション・グループ『トライ』の面々によるアクション・ショーがおこなわれたのち、各審査委員より発表となった。

 大野宏之賞は、ミスター・キース・スウェルによる『ズォーダー大帝』
 道原かつみ賞は、原田泰―郎と明るい特撮軍団による『ゲゲゲの鬼太郎対妖怪軍団』
 大和眞也賞は、MFCによる『歴史の証言 SF大会を彩った男達』
 鳥図明児賞は、『沙門』を演じた白村ゆりさんが、それぞれ受賞した。

 というアフターレポートの内容はさておき、このショーの評判はあまり良くはなかった。大会の経緯でも書かれているように、企画自体に対する演出をほとんど考えないまま、出演者に依存した結果ともいえる。後の大会でも、コスチュームショーは単なる場内コスプレとなり、舞台上のショーとして実体を失っていく。唯一、海外参加者のコスプレが見られた点が、日本の大会史上空前絶後といえるだろう。

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本章はDAICON5アフターレポートからの抜粋・修正及び追加写真により構成されている。

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