スタジオすばるの世界(レセプション 8月23日11:00開始)
 出演者:あろひろし、スタジオすばる

 「スタジオすばるの世界」は、マンガ家あろひろしさんを中心とした自主制作アニメのビデオ上映と、その製作裏話ということであったが、作品の出来がよかったのに対して、残念ながら客足が鈍かった。

 原因は、オープニング直後であったためと、『時の旅人』など他企画とのバッティングのためと思われる。
 この作品についての情報は、その後あまり聞かれない。

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時空の旅人(大ホール 8月23日11:30開始)
 出演者:眉村卓(上映後の挨拶)


当日配布されたチラシ

 『時空(とき)の旅人』(真崎守監督、角川春樹事務所製作、東宝配給)プレビューは、大会参与としてご協力をいただいた眉村卓さんから、「わたしの作品『とらえられたスクールバス』がアニメ化されるので、大会企画になるかもしれません」と、伺った一言によって始まった。

 紹介いただいた角川書店、東宝の担当者と打ち合わせを重ねた結果、ラッシュ完成が7月中旬、そのままSF大会で公開3ヶ月前完全プレビュー(全編上映)を行うことになった。 公開が決まっている商用アニメのプレミアができた点は画期的で、もちろん大会史上前例がない。 映画としても『惑星ソラリス』(もっとも、こちらは日本公開がされていなかったため)以来ではないか。

 残念なことに、キャラクタデザインの萩尾望都さんの来場は叶わなかったが、初日のオープニング終了から30分後大ホールにて上映を実施。上映後も、眉村さんによる裏話を交えたトークがあり好評だった。尚、アンケートが配られ、製作側 へフィードバックができるよう配慮された。この映画は、86年12月に公開された。

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紅い眼鏡 予告編(中ホール 8月23日14:40開始/大ホール 8月24日12:10開始)
 出演者:押井守、千葉繁、速水仁司


押井守/楽屋で待機するプロテクトギア/千葉繁

 「『紅い眼鏡』という映画を押井さんが撮っているんですが、それで何かやりませんか」

 1986年4月に東京で開かれていた「ファンタシックス展」で、同様の企画を大会でお願いできないかと相談に行った際、高田明美さんから持ちかけられた話である。プレミア上映をぜひ大会でと、企画交渉は進んだが、残念なことに大会までに完成を見ず、予告編上映と製作裏話の披露を2日間で行うことになった。

 1日目は中ホールにおいて、押井守監督、千葉繁氏、プロテクトギアのマスク製作者、速水仁司氏とプロテクトギア実物を交えて、スライド上映による座談会。

 2日目は大ホールにて、「ニューシネマへの挑戦」と題し、千葉氏が劇中人物、都々目紅一のコスチュームで登場、予告編の上映がされた後、押井守監督により映画の未来について語られた。予告編は予算がなく、NGフィルムをつなぎ合わせたものとのことであったが、観客には好評だったようだ。

 また、大会中はインフォメーションブースで、プロテクトギアが大阪地区公開のための署名運動を行うといったパフォーマンスを披露。その効果か(?)、半年後より東京を皮切りに全国で上映がされた 。

 この作品は、87年3月にバンダイビジュアルからレンタル用に発売されている。失敗作との風評が付き纏うが、監督のさまざまな原点を凝集した意欲作といえる。

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王立宇宙軍 予告編(大ホール 8月23日13:40開始)
 出演者:岡田斗司夫、井上博明

 当初この映画は「王立宇宙軍 リイクニの翼」と呼ばれていた。

 製作者の岡田斗司夫、井上博明両氏の挨拶の後、5分あまりのプロモーション・フィルムが上映された。その後、製作についての若干の説明と、製作中の動画の一部紹介(5分、音なしの16mmフィルム) があり、岡田さんの解説がついた。上映が始まると、楽屋にいた手塚治虫、豊田有恒さんがあわててホールに向かっていったのが印象的だった。それぐらい注目を集めていたのである。

 この作品については、説明の必要はないと思うが、ガイナックスの出発点となった映画。バイダイビジュアルがスポンサーとなり、制作費8億円を要する大作となる。1987年に東宝系で公開された。DAICONで登場した岡田、井上の両氏は、間もなく武田本部長らと対立してガイナックスを去っている。

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ヘルターゲット 予告編(大ホール 8月23日16:00開始)
 出演者:松崎健一、横山宏

 スタジオぬえの松崎健一さんより、ラッシュ上映をしたいというお話を聞いて企画がスタートした。

 大会当日は、まず松崎健一さんとメカデザインを担当された横山宏さんの挨拶の後、約5分間の16mmフィルムを上映。ラッシュには音が入っていなかったため、BGMは大会側で用意した。あまりに絵とマッチしていたため、あらかじめ準備されていたと勘違いした参加者もいたようだ。

 上映後、両氏の解説を挟んで、もう1回上映がされて幕となった。この映画は、ビクター音楽産業から87年1月にビデオ発売されている。

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岡本忠成の世界(大ホール 8月24日10:00開始)
 出演者:岡本忠成

 今回の企画コンセプトの中に、セルアニメだけでなく、パペット・アニメーションの上映を含めようというのがあった。パペットアニメは上映の機会もあまりない。岡本監督の作品は、星新一原作の「花ともぐら」などが何度かSF大会で上映されたことがある。そのため、比較的SFファンにも馴染みがある作家だ。多数の受賞経歴を見てもわかるが、この分野では世界的な権威でもある。

 上映ラインアップについては、岡本監督とも十分話し合い、結局SFにこだわらず、一連の作品として納得できるセレクトとした。2日目の朝一番ということもあり、最初の入りは少なかったが、最終的には800名余りの観衆を集めた。 海外参加者も含めて好評な企画だった。尚、監督は4年後の1990年に、58歳で亡くなっている。
 ラインアップは以下のとおり。

 「TV−CM集」
 「忘れられた人形」
 「花ともぐら」
 「虹にむかって」
 「人類の進化」
 「力橋」
 「おこんじょうるり」

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岡本忠成監督の略歴

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妖怪天国(集会室 8月24日11:40開始)
 出演者:手塚治虫

 
当日配布されたチラシと挨拶をする手塚治虫さん

 手塚真監督による『妖怪天国』のプレビュー企画は、手塚治虫さんからの大会参加のお返事に「上映したいのだが」と書かれていたのが始まりだった。

 ビデオ(ポニーキャニオン)発売が9月末だったため、先行紹介を兼ねて、前々日(22日のリハーサル時)には大阪圏のビデオディーラーを集めた発表会も実施している。さまざまな妖怪を斬新な手法で映像表現した意欲作であり、手塚治虫、水木しげるさんらが出演しているというお遊びも楽しい。

 当日のビデオ上映では、手塚さんが自ら挨拶に立って熱心に紹介を行った。また、販売促進用のパンフレット、シール、アイテム類は25周年パーティ等で参加者に配布させていただいた。

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ダーティペア+バツ&テリー予告編(大ホール 8月24日12:00開始)
 出演者:なし

 ゲストなし、わずか1分間の企画だったので、前の企画から緞帳も下げずに上映した。あっけに取られた参加者も多かった。

 内容は、「MEDIC(メカデザインコンテスト)」で協賛していただいた、日本サンライズの要望による、87年3月松竹系で公開予定だった新作アニメーション 、「ダーティペア」と「バツ&テリー」の劇場用予告編である。フィルムの最後には、「近日公開、当劇場にて」のキャプションも入り、場内大爆笑で終わった。

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中空知防衛軍(大ホール 8月24日12:45開始)
 出演者:清水耀

 『宇宙家族カールビンソン』でおなじみの、マンガ家あさりよしとお氏原作『中空知防衛軍』のフィルム上映。このとき上映されたのは5分余りのパイロット・フィルムだった。観衆からの反響は良かったが、結局映像化は実現しなかった。フィルム上映後、プロデューサの清水耀氏から挨拶があった。

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ファンタスティックアート原画展(展示室 8月24日11:40開始)
 出演者:なし

 原画展は、当初参加いただいたイラストレータ、画家、マンガ家の方々から1点ずつ出品していただこうという発想からスタートした。

 しかし、86年「ファンタシックス展」 (ここでいうシックスとは、出渕裕/開田裕治/末弥純/増尾隆幸/米田仁士/高田明美の各氏を指す。2回開催されているため、末弥/増尾の代わりに加藤洋之/後藤啓介 とする場合がある)を開催されていた各先生から快諾を得、東京創元社から武部画伯の作品がお借りできる頃から、話はどんどん拡大し、それと同時に輸送や警備の問題が浮上してきた。素人が管理できる限界を超えていたのである。結局、各作品は日本通運の美術運送部が輸送・展示の一切を担当、厳重に美術保険を掛け、輸送や保管時には実行委員も立ち会った。

 当日は、警備の都合もあって1日だけの公開となったため、時間的に不評だったが、故武部本一郎画伯から、手塚、萩尾先生を経て、現在のイラストレータ諸氏へと連なる展示は、日本SFアートの歴史そのものであったように思える。それは、展示室内を見学するゲストの皆さんの眼差しからも判断できるだろう。
 出展作品(50音順)

 青井邦夫 ソビエト・スペースシャトル
 開田裕治 ナメゴンの誕生
 佐藤道明 無題
 末弥 純 暗雲
 高田明美 鼓動
 武部本一郎 金星の火の女神/密林の謎の王国/魔法世界の三兄弟/魔法世界の夜明け
 手塚治虫 ブラック・ジャック/鉄腕アトム
 萩尾望都 風/X+Y
 増尾隆幸 飛翔・都市侵略
 米田仁士 シンフォニア

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本章はDAICON5アフターレポートからの抜粋・加筆訂正及び追加写真により構成されている。

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