95/08/05
中井紀夫『死神のいる街角』(出版芸術社)
短編集で読むと、荒さが目立つことがある。お話がストレートすぎて、分かりやすさがすぎる。ホラーの読者は一般読書層に近いためか。
なぜか上しかない梅原克文『ソリトンの悪魔(上)』(朝日ソノラマ) は、抱腹絶倒のジェット・コースター・ノベル。考えるよりまず行動、軽いノリの主人公。ヒステリックにどなりまくるだけで、どこが有能だかわからない台湾人キャリア・ウーマン(主人公の元妻)、超軍事機密をペラペラ喋ってしまうドジな自衛官(オタクの艦長と、気の弱い副官)などなど、間抜けな登場人物をおりまぜた爆笑版アビス=Bまー読み方にもよるが(少なくとも出版社のウリは違う)、これでは『二重螺旋の悪魔』以下。
95/08/07
姫路の仮設住宅在住の佐脇先生の、デジタルハイノートウルトラが早くも壊れた。DECは一見高級機メーカと見られているけれども、PCについては安売りメーカなのであって(日本では安くない)、それほど信頼性はないと思われます。
大野万紀先生によると、SD(スラムダンク)日記は一般読者用に噛み砕かれた内容とのこと。ほんとうはあんなもんじゃないだって。えーと、前回書いた家庭崩壊とゆうのは、別に真木久美子さんを罵倒するわけではなくて、尊敬をしての表現です。そーゆー意味では、THATTA読者のたいていの家庭は崩壊しているわけですから。客観的に見ると(いいわけがましい)。
95/08/13
家族旅行をする。生駒山中のリゾートホテルで、室内プールと森林浴、バーベキューパーティのクールでゴージャスな日々。
ジェイコブスン編『シミュレーションズ』(ジャストシステム) は、やはりVRアンソロジイとして弱い印象。あえて、VRと言わなければごくありふれたSFアイデアであるだけに、いまひとつアンソロジイの求心性に乏しい。ま、いい作品は集められているんだけど。
95/08/17
神戸の風景は、焼けつく日差しの下で、白茶けた空き地が広がるばかり。倒壊家屋はもう目立たなくなった。庭では、なぜか蝉が大量発生していて、鈴なりアブラ蝉とクマ蝉がうるさい。
『リング』のTVドラマを見ると(8月11日放送)、なるほどこれはTVドラマを前提にしている、ということがよくわかる。細かな設定の違いはあるものの、昔小説で読んだときほどの違和感(嘘っぽさ)は感じられない。とゆーことで、鈴木光司『らせん』(角川書店)を読んだが、いやーなんというか、前回は念写でビデオテープを作ってしまい、今回は念写でD*Aを作ってしまうという、ト学会風驚天動地のアイデア。『パラサイト・イヴ』も吃驚仰天ですな。まーねー。でも、これもTVドラマにするといいのかも。
95/08/21
出張鑑定という聞いたことのない、わけわかんないローカル番組で、青心社青木社長の杉浦茂二百円(仕入れ値)が四拾伍万円だったとか、実はそれは見せ本で、本当は水木しげるをまんだらけに売ろうとしているとか(とりみき出展の小松左京漫画は壱百万円)、古沢先生の過剰な気配りとマメさかげんとか、白石朗先生のインタビュー記事とか、こんなことは大森望の世界公開日記に書いてある。インターネットSF関係者日記月間(恣意的)ダイジェストでも書いたら、結構需要があるかな。でもまー、活字で書く限り、かつてのザッタを上回るわけではないだろう。
大会は、まーこんなもの。渡辺英樹のように呼ばれなければ来るもんか、とゆーのも分かるけどね(筆者も大会企画にかぎっていえばそうである)。まあ良かったほうか。子抜きでバブルの塔にも泊まれたことだし。
光台にはもはや蝉はおらず、秋の虫の声がうるさい。クールでゴージャスな日々。
95/08/24
ラリイ・マキャフリイ『アヴァン・ポップ』(筑摩書房)
全部は読めていない。まーしかし、マキャフリイもラッカーも日本の状況を誤解しているのではないか。日本のほうが誤解しているともいえるが。だが、日本全体がアヴァン・ポップに誤読化されている、というのも面白いかもしれない。
野田昌宏『「科学小説」神髄』(東京創元社)六〇年前のアメリカより、三〇年前の日本が昔に思える。今では水鏡子先生も、センセイではなくて、ほんとのえらい先生≠ネのだそうだ。そーすると、野田昌宏はもう伝説の彼方、神話の神様になってしまう。そーゆー売り方をすべきなのかも。いま甦る伝説の黎明期、神話の神々たちの世界、とかなんとか。でも、親近感はないな。
95/08/27
家族で都ホテルのビア・ガーデン。光台では唯一。
クールでゴージャスな日々(なわけない)。