96/9/3

えーと、今は3時40分アメリカです。しばらくここで記事を書きますが、時差15時間。何か欲しいものがあったらどうぞ。ただし、SF(サンフランシスコ)からは百キロ南(サンノゼ)なのでそのつもりで。まー家族との連絡も、会社との連絡もすべてメールです。

96/9/12

松尾由実『ジェンダー城の虜』(早川書房)
 軽トリックの爽やかミステリといったタッチながら、設定と登場人物の異常さで売る作家といえよう。

サンノゼでFry'sという売り出し中のPCスーパーは、家電も扱っていてJoshinのようでもある。品揃えは豊富とはいえ、驚くほどではない。何でもあるというわけではない。その他、ショップ系も見ましたが、ここは日本橋、秋葉原と雰囲気(薄暗くてごたごた)から客筋(デブで薄汚いおたく風)まで同じ。店が広い(日本の同系店の4倍)ところがかろうじて違うか。

スーパーで現地仕事用のPCを調達。ノーブランドP120+1GHD+2MGC+4×CD+16Mで1100$(2年補償付)なり。メモりは32Mで150$なので日本並み。大差はないが、まー安いか。

東洋人(特に中国人と韓国系)がやったら多いカリフォルニア。約3割が東洋人だといわれる。車は半分が日本車で、車線が多くて信号機(倒れそうに傾いている)が変なのを除けば、日本と変わらぬ(とまではいえぬが)。

まー1ヶ月もあるのですが、早々にサンフランシスコのチャイナタウン(なんというか、全体が同じような中国雑貨街)、フィッシャーマンズワーフ(観光客目当ての服飾店やら飲食店の集合体。安っぽい水族館もあります)やら、金門橋なんて観光スポットも見ました。見てしまうとなんてこともないわけです。無感動な奴。

96/9/15

貴志祐介『十三番目の人格』(角川書店)
 今頃読む。結構よく書けているような気がする多重人格テーマホラー。ミステリ風謎解きとエンパスのヒロインをからめて、まずまず。とはいえ、予想の範囲に落ち着くという展開で、今ひとつインパクトは不十分。まとまりすぎたためにホラー大賞を逃した(佳作)のであろう。

96/9/22

グリーンバーグ編『死の姉妹』(扶桑社)
 3分の1程度がSFである。序文は、ちっとも似ていないのに集まると似ている姉妹という比喩で、このアンソロジイを表現している。テーマの曖昧さから逃げているともとれますね。まーしかし、説明がなければわからないとはいえ、比喩的としてなかなかよいと思います。吸血鬼テーマのアンソロジイ全般につけられそうですね。中では、タニス・リーの出来が図抜けて詩的(ホラーではないけど)。後は水準作。

96/9/28

アメリカ滞在25日を経過。

シリコン・バレー(ちなみに日本的感覚では、ここは谷というより盆地風)の中核サンノゼ(SanJose)周辺の書店では、まあたいていSFは置かれているのだが、半分をファンタジイ系で占められているのは、まあこんなものか。新刊の出たギブスンとカードはどこでもある。

スタトレ系も多くて、たいしたことはない。中では、スタンフォード大学構内の本屋だけが、バラードやディック、レムなどを多数揃えていて、いかにもそれらしい。講義ででも使うのかしら。不思議なことに、ニコルスのEncyclopedia(トレードペーパー版と図解編)だけはどこにでも置いてある。ベストセラーとも思えませんが。

一見、関西学院大学のキャンパスを、そのまま10倍スケールアップしたようなパロ・アルトのスタンフォードは、これだけはいかにもアメリカという壮大さがあって、さすが学費参百萬円也(年額、購買力平価ならば六百萬相当)だけのことはある。

あらゆる人からその態度(マニュアルを読まない)を非難されながらも、通信ソフト未経験の水鏡子が、ようやくHPに到達した決定的瞬間を遠望。今は「にゃあ」と書いているだけでいいけど、このまま大量の文書を上げるようになったら、それはそれで問題ではないでしょうか。

96/9/29

中原、佐川『ウィルス進化論』(早川書房)
 今頃読む。ウィルスが遺伝子の媒介者であるというアイデアは、(原著発表当時より)今受けしてよい。とはいえ、今西進化論との融合はいまいち実証が不足しているのでは。

シリコンバレーの日常(興味のある方はこちらもどうぞ)

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