招待状の法則 | |||
SF大会に対するゲスト(招待者)の思い入れは、そもそも年代によって異なってくる。第1世代、SF大会を自ら立ち上げてきた世代の人たちにとって、自分自身大会スタッフOBなので、よほど対応が悪くない限りSF大会には協力してもらえた。たとえば、DAICON5当時では、手塚治虫、矢野徹、小松左京、眉村卓、豊田有恒といった世代の方々である。 けれど、年代ギャップが広がり、やがて作家もSF大会の単なる参加者だった世代、そもそも興味もない世代になると、参加協力を募ること自体難しくなってくる。SF大会は、ほとんどの場合、出演料など用意できない。できないが、「SF大会は無償参加が当たり前」、「ゲストは企画にできる限り協力する」、という根本的なコンセンサスに理解がなければ、さまざまな不都合が生じる。主催者、ゲスト、参加者にも、ここのところを誤解している人が多いだろうから、明確にさせておかねばならない。つまり、SF大会は(プロの好意だけで成り立っている)“ファンサービス”ではない。相互関係なのである。主催者(ファン)は会場と企画を用意し、出演者(プロ)は内容を満たすよう努力する。 ショー型でも、分科会型でも、この点は不変である。作家とファンとが一体となって支えてきた、SF大会の歴史的経緯に基づく原則である。 とはいえ、いかに原則を振りかざしても、誰も聞いてくれなければ意味はない。無償である以上、義務も伴わない。従って、数回に及ぶ挨拶状、依頼状、確認等の手続きが必要になる。DAICON5の招待者は179名(ゲストと同伴者を含む)に及ぶ。それぞれの動向を絶えずウォッチする役割のために、企画部門、ゲスト部門で専任者が必要だった(注1)。
注1:案内状の名前を何回も間違えて、
某ゲストから怒りの手紙をいただいたこともある。無神経なスタッフのミスだが、プロの作家にとって名前はブランドネームに相当するため、軽々しくは扱えない。
| |