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海外参加者たち

 DAICON5では参加者総数2500名のうち、およそ40名が海外参加者だった。数から言えば、2パーセントにも満たないが、これだけまとめての参加者は日本SF大会史上でも空前絶後である。

 もともと、彼らの多くはアニメファンだったのだが、日本に向けてのツアーを企画した旅行会社があり、そこを中心に30名が申し込んできた。アイザック・アシモフズ・マガジンのコンベンションカレンダーに登録した内容への問い合わせで、さらに10名程度が参加した。旅行会社の代表者である、シンドラーという人はワールドコンのスタッフもしたことがある、まあそのスジの人である。最初の問い合わせは柴野さん経由で、日本の大会紹介依頼だった。残念ながら、当時でも(今も)、海外に日本の文字メディアはほとんど知られていない。今後開催される大会でも、海外参加者の主たる関心は、アニメーションになるだろう。

アイザック・アシモフズ誌への掲載依頼文
毎月載せてくれるため、校正依頼も毎月きた(最終掲載時の校正刷りも収録)
(この文書を見るためにはAcrobat Readerのインストールが必要です 。ファイルサイズ削減のため印字品質は300dpiに設定してあります)


シンドラー氏とのやり取り
一部のみを参考として収録(住所などは削除しています)。「コスプレできますか」なんて質問もあった。

 しかし、数の多少にかかわらず、海外参加者が来るからには、そのための案内状やパンフレットが必要になる。来場時のマニュアルも必要になる。

 

当時の海外参加者用申し込み用紙、プログレスレポート要約版

海外参加者用申込書
プログレスレポート(要約版)

 もう一つ問題だったのは、海外参加者に対応した海外ゲストの扱いである。DAICON5の4年前に開催されたTOKON8でも、アーシュラ・ル・グィンの招待を計画した経緯があるが、このときは実現しなかった。依頼文でも、ゲスト・オ ブ・オーナー(名誉招待者)扱いの招待となっていた。ところが、この称号はワールドコンでは完全な招待(すなわち、滞在期間中の旅費/参加費/宿泊費/食費が無償)を意味する。DAICON5当時ではそこまでの予算がないため、大会期間中の参加費/宿泊費と一部の食費のみを持ちたいという形でお願いした。名称も、「公式外国人ゲスト」であり、「名誉招待者」ではない。柴野さんからのアドバイスでは、事情を十分説明して、条件を出しさえすれば「非常識であっても、失礼にはならない」のではないか、ということだった。ちなみに、ワールドコンでは名誉招待者以外の参加者は、たとえゲストであっても参加費を払う。また、名誉招待者は企画や司会に全面協力する義務が生じる。日本では、そのあたりは曖昧で、主催者との人間関係に依存する。

 もともとJ・P・ホーガンは、『星を継ぐもの』(東京創元社)が評判を呼んで以来、既に多数の翻訳も出ており、日本での知名度が高かった。本人も、著書が売れているためか、来日の意思が強かったのである。 過去DAICON4でも招致の試みがあった。ハリスンの場合は、ワールドSFの関係もあり来日することになった。人気はそれほどではなかったが、上品でユーモラスな人柄など、大会では評判の高い作家だった(注1)。この2人ならDAICON4のフレデリック・ポールと較べて遜色はない。今回は、パネル参加など、企画も豊富に用意できる。

ハリスン、ホーガンからの手紙
海外作家向けメッセージ依頼文(英語・スペイン語)
住所などは削除してあります。

 海外参加者接客マニュアルも作成した。極めて当たり前の内容。とはいえ、英語ができるスタッフがいないことには、どうしようもないのも事実。DAICONでは、コンタクト・ジャパンで有名な大迫公成さん(ハリスン担当。当時でも、ワールドコンでは柴野さんに次いでの有名人だった)、アメリカ育ちでほとんどネイティヴスピーカーの弓場君(ホーガン他)など、合計7名の通訳スタッフを準備した。とはいえ、この中で実地経験者はほとんどゼロ、SFファンでもないポランティアも含んでいるので専門用語の通訳は苦しかった。

海外参加者接客マニュアル
専門の通訳につなげるためのマニュアルである。

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bullet 注1:ハリスン氏は、奥さんのジョーンさんと来日した。小柄な奥さんは、SF大会のお母さんと呼ばれる気さくな人で、大会中も忙しく走り回るスタッフの心配までしてくれた。ジョーンさんは今年4月に亡くなったことが報じられている。
ハリスンさんの公式HP(NEWS欄の2002年4月を参照)
ワールドSFの公式HP
 

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