海外作品(順不同)
★ルイス・シャイナー『グリンプス』(東京創元社)
★スタニスワフ・レム『虚数』(国書刊行会)
★ステーヴン・バクスター『タイム・シップ』(早川書房)
★キム・スタンリー・ロビンスン『レッド・マーズ』(東京創元社)
★ニール・スティーブンスン『スノウ・クラッシュ』(アスキー)
今年の作品は結構多彩な内容だったといえる。ロビンスン、バクスターは正統的なSFであるし、スティーブンスンはサイバー・パンクの“遺産”を受け継ぐ完成度の高い作品、一方レムは名のみ高かった傑作であり、シャイナーは個人的な感傷を込めた力作といえる。その他、プレストン&チャイルド『マウント・ドラゴン』(扶桑社)や、ハリー『サイバー戦争』(二見書房)も、SFからみて収穫と見なせるだろう。
国内作品(順不同)
★矢作俊彦『あ・じゃ・ぱん!』(新潮社)
★瀬名秀明『BRAIN
VALLEY』(角川書店)
★井上雅彦篇『悪魔の発明』(廣済堂出版)
★小林恭二『カブキの日』(講談社)
★宇宙塵篇『塵も積もれば
宇宙塵40年史』(出版芸術社)
矢作、瀬名両氏の作品は既に毀誉褒貶多数の評価が出ている。とはいえ、SFサイドから見ても、十分に価値ある作品といえる。アンソロジイでは井上雅彦の一連のシリーズのうち、SFアンソロジイと銘打った『侵略』よりも、作品の内容でSF味の強い『悪魔の発明』を選んだ。アンソロジイ分野では、他に『ハンサムウーマン』(ビレッジ・センター)も収穫に数えられる。ノンフィクションでは、資料的価値が高い『塵も―』が貴重であるが、小谷真理『ファンタジーの冒険』(筑摩書房)も内容が濃い。この他ホラーでの小野不由美など話題作は多かったが、SFという観点から外れるので割愛している。