海外作品(順不同)
★ロバート・J・ソウヤー『スタープレックス』(早川書房)
★ダン・シモンズ『エンディミオン』(早川書房)
★ジェイムズ・ティプトリ―・Jr『星ぼしの荒野から』(早川書房)
★マイケル・マーシャル・スミス『ワン・オヴ・アス』(ソニー・マガジンズ)
★グレッグ・イーガン『順列都市』(東京創元社)
後半に出たイーガンが衝撃的で、その他の作品を霞ませてしまった。ソウヤーのストレートさに比べても、きわめて異色なハードSFといえるだろう。ティプトリーは短編集、シモンズは本来『覚醒篇』と併せての作品なのだが、一冊の本として十分楽しめるので選んでいる。スミスは独特のユーモア感覚を味付けにした、ハードボイルドSF。レズニック『キリンヤガ』は評者の好みの問題であえて選外とした。
国内作品(順不同)
★佐藤正午『Y』(角川春樹事務所)
★新井素子『チグリスとユーフラテス』(集英社)
★谷甲州『エリコ』(早川書房)
★牧野修『偏執の芳香』(アスキー)
★藤崎慎吾『クリスタルサイレンス』(朝日ソノラマ)
たくさん出たような気がするが、よく考えるとSFというよりもホラーが主流だった。牧野修の諸作などはその典型かもしれない。今回はSF味の強い『偏執―』を入れている。新井素子は長年書かれてきた著者の特徴を凝集した作品でもあり、その点賛否が分かれるだろう。藤崎慎吾は、今時これだけまともなSFが書かれうるというだけでも大きな収穫。その他、99年は日下三蔵氏らの努力もあって、多くの日本SFが再刊された。考えてみれば、絶版にされた日本SFは宝の山のようなものであり、まだまだ埋もれた名作が多いはず。